Salesforceを活用した採用活動のメリットと、6つの「分析フレームワーク」とは

採用活動の効率化や優秀な人材の確保に向けて、採用DXが注目されています。HR領域では、ATS(採用管理システム)などのツールが数多く提供されていますが、GLナビゲーションはATSではなく、SalesforceなどのCRMツールを活用して採用活動を行っています。

そこで今回は、採用活動をSalesforceやCRMツールを用いるメリットや分析フレームワークについて解説します。

採用活動にSalesforceやMA・CRMツールを導入した理由

GLナビゲーションでは、営業活動にSalesforceやMA・CRMツールを活用し、営業DXを展開しています。従来の営業活動は、担当者の経験や勘に頼る定性的・属人的な進め方でしたが、営業活動を可視化するデータ基盤を構築することで、データドリブンの営業活動を行うことができています。

これは採用活動も同様です。従来の採用活動は、面接担当者の経験や勘に頼った極めて定性的・属人的な進め方が一般的でした。営業DXで売上が大きく変わるように、採用もDX化することで、優秀な人材を獲得し長く活躍してもらうことが可能になると考えています。

しかし、従来のATSは採用業務の効率化に重きが置かれているため、「どのチャネルから何名採用できたか」「どのくらいコストがかかったのか」というデータは出せても、タレントマネジメントや面接官評価、入社後の活躍までを総合的に分析するのが難しい。そこでGLナビゲーションでは、営業DXの分析基盤となったSalesforceを、採用活動にも用いることにしました。

また、ATSを使いこなせるようになったとしても、HR領域でしかそのスキルを活かせません。SalesforceやMA・CRMツールであれば、営業推進やマーケティングなどHR領域以外の仕事にキャリアチェンジする際のアピールポイントになりますし、入社後もすぐに成果を出すことができるでしょう。現在の人材マーケットでは、データを活用して成果を出せる「デジタル人材」に注目が集まっています。従業員の市場価値向上という観点からも、HR領域に限定しないツールが最適だと判断しました。

採用活動をAIで劇的に変える、Salesforceならではのメリット

採用活動でSalesforceを導入するメリットは、データの利活用や従業員の市場価値向上だけではありません。Salesforceには、Einstein (アインシュタイン) というAIを活用する機能があります。この機能により、salesforceに蓄積したデータを活用して生成AIを活用することができます。

GLナビゲーションでは、辞退などで採用に至らなかった方をSalesforceに蓄積しタレントプール化しています。社内で人材ニーズが発生した際には、このタレントプールの中から、適応する人材をEinsteinが抽出します。さらに、蓄積された人物情報や面接でのやり取りの情報を元に、Einsteinが再スカウトの文面をAIが作成することもできます。、

セキュリティにおいてもSalesforceは機密データと大規模言語モデル(LLM)が分離されており自分でLLMを選択できるため、よりセキュアな環境で採用活動を進められるでしょう。

採用活動で活かせる6つの「分析フレームワーク」

採用活動も、営業と同じフレームワークで分析可能です。GLナビゲーションで活用している6つの分析方法を解説します。

面接官分析、応募者のパフォーマンス分析

「面接官分析」は、個人や組織のパフォーマンスに関するデータを分析するフレームワークです。採用活動に当てはめると、入社前では「面接官による辞退率(内定承諾率)」や面接官の評価傾向、いわゆる“目利き力”を掴むことができます。

入社後では、入社前の評価が実際に入社後のパフォーマンスに結びついているのか、配属先によるパフォーマンスの違いも見ることができるでしょう。

候補者分析

「候補者分析」は、営業では顧客の属性や行動を分析するフレームワークですが、採用の場合は「顧客=採用対象者」になります。入社前では、採用対象者のバックグラウンドである年齢や経験年数などのデモグラフィックデータと、本人の価値観や興味関心、仕事に求めるものなどのサイコグラフィックデータを蓄積します。

また、顧客分析には「ビヘイビア」と呼ばれる変数もあります。営業の場合は商品を利用した回数や購入頻度などの行動変数を指しますが、採用の場合は。「採用ページの閲覧回数」「営業社員のインタビューを閲覧」などの行動履歴から、興味関心をスコアリングすることも可能です。

入社後では、誰がどのくらいの期間にどのような利益を上げたかといった実績を見ることができるでしょう。

選考プロセスに関するファネル分析

「ファネル分析」は、営業では受注(購入)までの行動プロセスを分析しますが、採用の場合は応募~面接~内定~入社後までの一連のステップをファネルにして分析します。入社前では選考の通過率などを、入社後はハイパフォーマーになっているか、マネージャーなどに昇進しているか、退職しているかなどを見ます。

チャネル分析

「チャネル分析」は、流入経路の分析になります。入社前は、転職サイトやリファラル、採用ページからの直接応募などを、入社後は、配属先などを分析できるでしょう。

Win-Loss分析

「Win-Loss分析」とは、営業では「購入された・されなかった理由」を明らかにするフレームワークです。採用の場合は、入社前だと、応募・入社・辞退理由が当てはまるでしょう。入社後であれば、満足度や退職理由などが該当します。

コンテンツ分析

「コンテンツ分析」は、自社のサービスを分析するフレームワークです。入社前だと、自社のコンテンツの何に魅力を感じているのか、募集職種やポジションなどもサービスに該当します。経営層や従業員への魅力、開催イベントなども応募動機のひとつでしょう。

採用活動をDX化したことによる変化

GLナビゲーションが採用をDX化したことで得た大きな変化は、「データを元に会話ができるようになった」ことです。従来の採用活動は、例えば「求人に○○を記載すると効果が良さそう」「面接では△△を伝えるようにしよう」などの定性情報ばかりでした。しかし、DX化したことで、「Aさんの面接辞退率が平均よりも高いので、原因を探りましょう」など、根拠となるデータを元に会話ができるようになりました。

また、採用には「観点が合っているか」「動機づけが上手か」という2つの要素があります。採用観点が正しく動機づけも上手な人が面接をすると、辞退率が低く入社後のパフォーマンスも期待できます。逆に、採用観点がずれていて動機づけもできないと、見極めが不十分なうえに志望意欲も高まらないため、辞退や早期退職が生じやすくなります。DX化したことで面接担当者をグルーピングできるようになり、改善に向けた指導がしやすくなりました。

定性的な採用活動から脱却し、データを元にした意思決定を実現しよう

従来の採用活動は、応募から入社までのワンウェイが一般的でした。でも、SalesforceやMA・CRMツールを活用した営業のナーチャリングプロセスの概念を導入すれば、採用活動はワンウェイの1~3カ月間だけではなくなります。選考中に辞退されたとしても、ナーチャリングを継続することで、年単位で接点を持つことができるでしょう。これは、優秀なタレントをプールするという観点においてとても重要です。

また、個人の好みや感覚で採用の意思決定をすることは、大きなリスクが伴います。SalesforceやMA・CRMツールは直ちに採用業務を効率化できるわけではありませんが、データを蓄積することで最適な意思決定ができるようになります。データを元にした採用を実現できれば、最終的には採用活動の生産性も高まるでしょう。

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