営業人数を増やすことなく、月間利益10倍を1年半で実現したSales-DXとSales-Operation改革の取り組みの全容

今回は、GLナビゲーションが1年半で月間利益10倍に成長した取り組みについてご紹介します。

まず結果からお伝えすると、2020年7月に比べて、GLナビゲーション株式会社の月間売上は6倍、月間利益は10倍に成長しています。なぜここまでの急成長を実現できたのかと言うと、Sales-DXとインサイドセールスを導入したSales-Operation改革の取り組みが大きく貢献していると思っています。

最近、様々な方と会話するなかで、GL社内の取り組みを聞かれることが多くなってきたので、記事として公開します。

1年半のSales-DXマイルストーン

GLナビゲーションの1年半のSales-DXの取り組みとして、大きく3つのステップがありました。

詳細は追って記載しますが、大枠は以下の通りです。

1st:テクノロジー導入による業務効率の大幅向上

マーケティングオートメーションのMarketoやTrello、Slackといった複数のツールの導入と、ツール間連携を行うことによって、人がやらなくて良い領域を可能な限りテクノロジーで自動化し、人的なリソースを時間価値が高い領域に集中させる体制が整いました。テクノロジー導入により、営業1人あたりの活動量が1ヶ月で約4倍に向上してます。

2nd:データドリブンで営業戦略を立てることが可能に

結果から言うと、営業1人あたりの売上が2倍に向上しています。ずっと営業担当者の勘と経験に頼ったアナログな営業活動をしていたのですが、しっかりとデータを基軸としたボトルネックの整理や解消に向けた打ち手の考案、実行の意思決定を行うことで短期間で売上が増加しました。

3rd:属人性の少ないスケーラビリティのある営業組織へ

リード獲得からクロージングまでの全体プロセスや各企業の属性別に担当を明確に分けることを行いました。例えば『The Model』式の組織体制を導入し、インサイドセールスと営業で明確に役割分担をしています。また、顧客の属性に合わせてTier1からTier3という優先度を設定し、Tier1には営業リソースを優先的に割いて、Tier3以降はできるだけ人のリソースを割かずにテクノロジーを活用して案件化する仕組みを構築しています。これによって、少ない人数でもスケーラビリティのあるレバレッジの効いた営業体制の構築が可能になりました。

1st テクノロジー導入による業務効率の大幅向上

GLナビゲーションは、以下のような体制を構築しています。

まずマーケティングオートメーションのMarketoを導入し、SalesforceのSFAと連携させています。以前はスプレッドシートやタスク管理ツールのTrelloを使っていましたが、2021年10月頃からSalesforceを導入して、Marketoと連携させたオペレーションの設計、テクノロジー環境を構築しました。

Marketoを使って、顧客に対するメール配信(提案業務)とスコアリング(データ蓄積、リッチ化)を行なっています。メールが開封されたりクリックされたりすると、自動で顧客に点数が付けられ、社内のインサイドセールスや営業にSlackで通知がいくといった仕組みです。

また、顧客がメールを開封・クリックした、あるいはWebサイトを訪問したという情報は、MarketoだけではなくSalesforceにも同期されます。インサイドセールスは、メールを開封した顧客のリストや、クリックした顧客、スコアが○点以上の顧客などのセグメントをSalesforceレポートから自身で抽出、確度の高いコール先のリストとして活用しています。

これまで、営業が手動でメール送付していたり、リストの上から下まで順番に架電していたような活動を一変し、メールでの提案業務はほぼMarketoに移管して自動化、営業はニーズが健在化されていてサービスを必要としている顧客に時間を集中して使える環境をつくりました。

2nd データドリブンで営業戦略を立てることが可能に

営業は、商談進捗をSalesforceに入力し、「面談を設定した」「面談から最終面談に進んだ」、「最終面談でオファーを貰った」といったフェーズ管理を行なっています。

商談状況をSalesforceのレポート、ダッシュボードで可視化することで「今月どの案件がクローズできそうか」「合計の着地はどのくらいになりそうか」といったForcast(売上予測)をSalesforceで管理しています。

また、スコアリング機能により営業の勘と経験ではなく、データとして顧客ニーズや確度を正確に把握できるようになりました。より解像度の高い状態で顧客を理解できるため、インサイドセールスのトークや提案を顧客起点で設計でき、顧客との関係強化がしやすくなりました。 また、営業のノウハウ(勘と経験)をデータとして管理、検証することでPDCAを回すことができ、ノウハウを武勇伝で終わらせずに更に高い次元に進化させる土台ができたことも大きなメリットです。

スコアリングロジック

具体的なスコアリングロジックについてお伝えします。顧客の行動に合わせてメールかWebかというカテゴリを設定し、例えば「メールを開封したら1点」「Webサイトを訪問したら1点」といったスコアリングを行なっています。

また、確度が高いとされる特定の行動については、Slackでアラートを通知しています。

Marketoスコアリングロジック

Marketoは、カテゴリ別にスコアを設定することができます。例えば弊社では、「顧客が求める人材要件」や「注力しているテーマ」に合わせてメールの種類を変えており、スコアを付与するカテゴリも分けています。

例えば、SAPコンサルタントを紹介するようなメールを送り顧客が開封したら、SAPスコアが1点付与されます。あるいは、PMOコンサルタントに注力している企業様にコンサルタントを紹介するメールを送り、クリックされた場合はPMOスコアが2点付与されます。

このようなスコアリングロジックを組んでおり、SAPスコアやPMOスコアといった各カテゴリの合計スコアを把握するようにしています。

また、顧客のニーズはタイミングによって変化するものです。そのため、「48時間メール開封をしていない場合は-2点」と現在の顧客状況を正確に把握するための減点スコアもつけてます。

3rd 属人性の少ないスケーラビリティのある営業組織へ

まず、GLナビゲーション全体のマーケティング・営業のプロセスは以下のようになっています。プロセス上のステージ定義や各チームごとの役割分担、KPIを明確にすることで、分業してもシームレスな連携体制を構築できています。

役割の分担としては、インサイドセールスが10分面談まで、営業が10分面談以降の対応を行います。

インサイドセールスという枠の中でも、更にいくつかのチームに分かれています。例えば、メールアドレスが分からない企業リストに架電してメールアドレスを獲得するアウトバウンドセールスを行なっているチーム、獲得したリードの提案対象になりえる顧客に対して提案活動を行なってニーズを獲得し営業との10分面談を組むまでを担うチームなどが存在します。

分業化しているとはいえ、いきなり顧客のニーズをヒアリング、見極めを行って提案する業務は、未経験の人材やスキル不足の人材にとっては、ハードルが高く感じることがあります。そのため、インサイドセールスチームのなかでも更に細かく分業することで、経験やスキルの差に関係なく、入社後のスムーズな立ち上がりと即戦力化につながっています。

マーケティング・営業プロセスにおけるステージ定義

プロセス上の各ステージの定義です。このようにステージ定義を明確にし、Salesforceのステータスやどのような内容で登録しているのかを明確にしています。

ステージ定義や登録方法を明確にすることで、各ステージにどれくらいの顧客が滞在しているのか、次のステージのコンバージョンレートがどれくらいかといったプロセス全体の流れを把握できます。

プロセス上の流れがデータとして可視化されることで課題が浮き彫りになり、課題を探す時間より、課題解決や売上予測に多くの時間を使えるようになりました。

Tier(優先度)定義と担当別け

GLの場合はプロセスだけでなく、顧客の属性に合わせて担当領域を分けています。

例えば、顧客の収益貢献度に合わせてTier1からTier3というセグメントの定義を設定します。Tier1は、プライム/エンドユーザー、注力テーマに合致しているSIer、過去に実績があり関係構築ができている企業様としています。担当はアカウントセールスで、営業リソースをべったり張り付けて関係構築を行い、ニーズが発生した時にすぐに提案に動ける体制にしています。

Tier2には、プライム/エンドユーザーではありませんが、商流が浅く、プライムやエンドユーザーとの関係が深く決定権がある、あるいは上流やパッケージ案件のニーズなどのGLが注力しているテーマに合致している企業様を置いています。担当はインサイドセールスで、前述したようなスコアによる関心領域・関心度を可視化し、優先度を付けたアプローチを行います。

最後のTier3は、商流が深く、面談は組めるものの決定率が上がらない企業様です。ニーズがアンマッチなので、面談をしたとしてもその先に進めない案件となります。Tier3は人のリソースを割くのではなく、Marketoによるメール配信のみを行います。顧客からお問合せがあった時のみ、案件の確度次第で対応する・しないという可否を分けます。

Tier1との生産性対比

Tierごとに担当領域を分けたことによる違いは、数字として見ることができます。例えばTier1は、Tier2以下と比較した時に生産性が約8倍となっています。

提案からの決定率を見ると、Tier2以下の1%に対し、Tier1は8%です。Tier1にしっかりと営業リソースを割く体制を敷くことで、決定数も増え、会社の収益への貢献度も高くなります。

スコアリングと過去実績から見る優先度

Tier2以下の顧客は母数が多く闇雲にあたっていては時間を多く消費してしまいます。そのため、データを元にした優先度付けを行なうことによって、生産性の高い提案活動を実現しています。

例えば、上記は優先度を付けるための軸の一つです。面談実績の有無を横軸、スコアの高低を縦軸としています。

右上に位置する1の領域が最優先となり、過去に面談実績がありスコアも高い企業様が該当します。一番ニーズがあり、過去の面談実績もあるため関係構築もある程度できているという位置付けです。弊社のプロパー人材を提案する時などに、真っ先にあたっていく案件・顧客セグメントになっています。

次に、実績はあってもスコアが低い優先度2の領域です。過去に弊社と何かしらの接点はもっているものの、直近スコアが低くなってしまっている企業様が該当します。

最近のメールは見ていないもののニーズがあるのであれば、コンサルタントを提案して、マインドシェアを上げて関係構築をしていきます。もしくは、アポイントを設定し、あらためてGLナビゲーションのコンサルタントの強みやパートナーとしての価値を伝えることもあります。

優先度3は、実績がなくスコア0という領域です。スコアが高い領域の方が優先度も高いと思われがちですが、比較検証を行った結果、実績がなくスコアが高い企業様より次に繋がる可能性が高いという結果が出ています。

メールを認知していない、もしくはほとんど見ていないという状態のため、ニーズの有無が不明です。そのため、インサイドセールスから提案しながらニーズがあればもちろん面談に進み、ニーズがなければアポイントをとってマインドシェアを上げていく活動をするというセグメントです。

優先度4は、メールを認知しているものの特に反応がなく面談が組めていない企業様が該当します。そもそも注力テーマが異なっていたり、ニーズがなくて特に反応していないということなので、アプローチしつつ可能性がなさそうであればTier3に落としてあたらないようにするといった工夫を行なっています。

インサイドセールスの育成とキャリア拡大

弊社のインサイドセールスはかなり業務範囲が広くなっています。

一般的にはテレアポ部隊というイメージが強いかもしれませんが、弊社でのテレアポは初期段階のトレーニングフェーズです。そこからは、顧客のニーズに合わせた提案力を鍛えたり、マーケティングチームと連携してSalesforceやMarketoを活用したデータ抽出、レポートの作成を行い、どこに課題があって、どのような改善策、どのチームを巻き込む必要があるのかを考えていくフェーズにキャリアレベルを上げていく設計にしています。

順番で言うと、新規のアウトバウンドセールスから始まり、ビジネスパートナーからのコンサルタント集客を行うプロジェクト提案、コンサルタント提案を行い、最後はデータを扱う戦術設計まで、ポジションを上げていく育成プロセスを敷いています。

キャリアレベルを上げることによって、ネクストキャリアの選択肢も広がります。 アカウントセールスとして、Tier1の顧客のニーズ発掘や深掘りを行ったクロージングを行うポジションに行くこともできます。

データとツールを活用しながら営業戦略や戦術に落とし込んだり、汎用性の高い施策を行って、営業活動をより生産性の高いものにしていくマーケティングのチームに行くこともできます。 マーケティング・営業に限らず、プロセス全体を把握した上で、どこにボトルネックがあるのか、どんな要因でボトルネックが起きているのか、ボトルネックを解消するためにどんな意思決定が必要なのかを明確にします。

課題に合わせて、体制変更やシステムへのオペレーション実装、人員採用などの施策を推進する営業推進のチームに移動することも可能です。

このように、インサイドセールスは単純な実行部隊というよりは、マーケティングと営業の両方の要素を兼ね備えたレバレッジ人材です。レベルアップを重ねることで、セールス領域を極めていくことも、汎用性が高いジェネラリストになっていくことも、インサイドセールス自身が選べるようにしています。

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