「The Showa(ザ・昭和)」から「The Model」の考え方に一変、レガシーな営業部長がデータとテクノロジーを活用したDX推進部長になるまでの軌跡

こんにちは。神田です。

以前、Adobe社と登壇したMarkezineDayのイベントでは、営業部長(=社長の神田)自らがオーナーとなり営業DXを推進しコロナ禍で売上が半減した状況からMarketo導入を開始、1年半で実施した営業組織の変革と月商6倍、粗利10倍まで引き上げた取り組みをご紹介したところ、おかげさまで大変多くの反響を頂きました。

https://markezine.jp/article/detail/38673

記事を目にした経営者仲間からは「レガシーな考え方が染み付いていた状況から、どのように考え方や行動を変えることができたのか」という質問をよく聞かれます。

たしかに、この1年半を振り返ると、明確に自身の考え方が変わった自覚があります。そして、最初からこの考え方を受け入れることができたわけではありませんでした。

自分で言うのも恥ずかしいのですが、「勘と経験」「努力と根性」に依存した営業活動に固執していた時期もありました。まさに「The Model」ではなく「The Showa」の営業組織でした。

今回は、私の心境の変化とそのきっかけとなった事象や人物についてご紹介します。社内の営業DX推進に悩む経営者や営業、マーケターの皆さんの参考に少しでもなれば幸いです。

レガシーな営業組織が変化したきっかけ

2020年4月頃の営業組織は、顧客管理をホワイトボードで行い、営業成績を上げるために架電数、とアポイントを増やす人海戦術の考え方がメインだったため、過去のデータやノウハウの蓄積がなく、活動量に依存した営業戦略しか立てられない状況でした。また、当時はその課題に気づくことができず、毎朝メンバーと打ち合わせをしながら細かい活動管理を日々繰り返していました。

そのような状況から営業DXの推進を決断したきっかけは、弊社が運営するサービス「GlobalWing」(以下、GW)の卒業生からMarketo Engageの提案を受けたことです。当初考え方が異なる部分が多いように感じたのですが、話を聞いているうちに当時の営業組織を一変する可能性があると強く感じました。GW卒業生の多くが外資系企業で活躍しており、営業組織や営業の考え方が大きく異なっていました。火縄銃で戦うことしか知らなかった日本人が西洋の最先端の鉄砲を目の辺りにしたような気持ちでした。

また導入後、すぐに成果が出始めたことで手応えを感じ、本格的に営業DXに対して投資をすることを決定しました。

*ここの「GLレガシー部長」が神田です。

営業DX化に向けた課題

前提として、営業DXに取り組む前のGLナビゲーションがどのような営業組織だったかをお伝えします。今回の取り組みにおいて、大きく以下4つの課題がありました。

1.「レガシーな営業の思考」からの脱却

2.コロナ禍での営業組織の立て直し

3.外部の専門家を採用した営業DX推進の必要性

4.顧客を起点としたマーケティングと営業の連携

1.「レガシーな営業の思考」から脱却

人海戦術を武器にした営業体制を敷いていたため、人力対応できる範囲ならシステムは不要、システムに投資するよりもインターン生やアルバイト採用に力を入れたほうが安いとうい考え方を持っており、ツールに価値を見出すことができませんでした。

一方で以下のような課題を抱えていました。

  • 単純作業の繰り返しになり、社員のスキルが向上しない。人材が育たない、定着しない
  • 人力での作業割合が多いため、タスク抜け漏れ、提案品質のムラが多い
  • 営業員の好みで、営業活動が一部の顧客に集中する

また、SFAの導入に壮大に失敗した経験があったことから、システム投資には慎重になっていたことも覚えています。

2.コロナ禍での営業組織の立て直し

当時はコロナ禍で市場が縮小しており売上は半減、人材を採用する時間・余力がないため現状の限られた営業リソース(若手営業2名+社長)のなかで立て直しを図る必要がありました。それと同時に人材採用やファイナンスといった経営業務にも時間をさく必要があり、営業チームのマネジメントが薄まるとメンバーの活動量が下がったり、目的を見失った活動になり決定数が下がったりしていました。

また、リモートワーク導入により、営業担当の活動内容が見えない、メンバーが若手ということもあり報告・共有・相談が上がってこず、数字進捗やボトルネックをリアルタイムで把握することが難しい状況でした。

そのため、都度、営業員と1on1を実施しながら活動進捗、課題の整理、打ち手の合意などを1時間〜2時間かけて会話している非効率な状況でした。

レガシー思考だった当時は、決定事項を確実に実行するためのマイクロマネジメントを導入していましが、量だけ追わせても工数負荷が増えるだけで成果に繋がらず、顧客を度外視した活動になることも多々ありました。

3.外部の専門家を採用した営業DX推進

営業DXを推進するにあたり、圧倒的に不足していたのは社内へのナレッジシェアです。私は人材出身の昭和営業が染み付いており、メンバーは若手のため、プロジェクトを任せられる経験やスキルが不足している状況でした。

外部のマーケティングの専門家をPJTにアサインしました。経営者がカバーしきれない領域でコミット力が強い外部人材を配置することで、メンバーへの目的意識の強化・定着、モチベーション向上、オペレーション整備などを短期間で実行してもらいました。

外部の専門家は、前述した「Global Wing」というGLナビゲーションが運営する海外インターンサービスの卒業生です。学生時代に当社サービスを通じて出会った学生たちが、現在は日系・外資系の有名企業で最年少マネージャーやトップセールスとなっており、今回の営業組織立て直しにも協力してくれました。

4.顧客を起点としたマーケティングと営業の連携

現場の業務を注意深く見ると、顧客の関心やニーズを無視したメールの一斉配信、一方的な営業コールが継続的に行われていることが分かりました。顧客と会話が噛み合わないことが多く、顧客状況を無視したプロダクト・アウト的な提案活動で活動件数を積み上げている状況のため、営業としてのバリューを提供することができていませんでした。

顧客状況がチーム内に情報共有されないまま重複して同じ顧客にアプローチが繰り返され、顧客からのクレーム処理の工数が追加で発生することも起こっておりました。

顧客、営業、マーケティングと様々なチームからインサイドセールスに情報が集まっているにも関わらず、情報のハブとしての機能を果たせずタスクフォースの実行部隊となっていました。また、一方的な粘る提案活動をすればする程、顧客からクレームが発生し信頼を失うような事象が多発していたのです。

そして受注後の顧客フォローがおろそかになり、常駐コンサルの不満、顧客の不満を拾い上げることができず既存顧客へのアップセルは当然ながら出来ず、機会損失も生まれていたのです。

なぜ、レガシー部長は変わることができたのか

以下2つの理由から、変化することを決断しました。

1つ目は、改革を進めていく中で、私のモノの見方で物事を進めていくことが営業組織の改革を遅らせ、スケーラビリティする芽を摘んでいると気づきました。メンバー自らが主体的に考え行動し、結果を出せるようになることに徹する必要性を強く感じました。

2つ目は、営業の再現性を最重要視するようになったからです。データ・テクノロジーなどの武器を使った営業は外資系企業では既に実践されています。経験ある先発プレイヤーに勝つためには、システムを導入してやり方を変えよういう考え方です。

ヒューマンスキルに依存していたため、オンボーディングにも苦労していました。その上、育成には1年〜2年程度必要です。そうなった場合、素手で戦わせたら勝ち目は薄く、個人のスキルで勝つのは難しいため、何かしらの武器を持たせてあげる必要があるという考えに至りました。

DXを中心にした組織改革後の変化

一連の変革を通じて、属人的な勘と経験に頼る組織は相関関係で会話を行い、データドリブンな意思決定ができる組織は因果関係で会話を行うということに気づきました。データドリブンな意思決定を行うには、実体験を元に「原因と結果になる関係」を見つけ出し、数字ベースで会話を行う必要があります。

現状の活動進捗、ボトルネックを常に数字ベースで共有するようになりました。以前はメンバーの指示内容が客観的なデータに基づかないため、受け手は定性的なフィードバックに頭を悩ませるシーンが多々ありました。

『昭和営業』では感覚による相関関係の話が中心になりがちですが、相関は事実としてデータに現れるので、「なぜこうなっているのか」という因果の仮設をメンバーと考えることができるようになっています。

さいごに

昭和時代の営業の考え方を持った「レガシー営業部長」は、営業DXを推進する際、必ず大きな障壁になりえると思います。

一方、世の中のレガシー営業部長は誤解されており、レガシーなスタイルの背景にあるのは「古き良き哲学への信捧」ではなく、「データドリブン営業に対する諦めやコンプレックス」であることが多いと思います。

実際、私自身がそうだったのですが、「システム導入には莫大な費用がかかる」、「データを営業が入力しない」、「データの正確性が乏しく実業務で活用できない」など、営業DXを推進する前はネガティブな印象ばかり持っていました。

そのため、まずは「システムを導入した組織の再現性」より「個人のヒューマンスキルを向上」が優先と考えていた結果、世の中で言われる「レガシー営業部長」のような考え方、マネジメントになっていたのだと思います。

これらの変革を実現できたのは、コロナ禍という環境でかなり緊急度の高い変革が求められたこと、変革の成功に向けて伴走サポートしてくれる専門家が近くにいたこと、日々、激しく変化する環境下でも社内のメンバーが付いてきてくれたこと、すべての要素が揃ったからこそ実現できたものであり、なにか1つ欠けてもいまとは違う結果になっていたかと思います。

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