「TheModel型組織」の目標設定のポイント ISチームがアポ獲得数を目標にしない理由

インサイドセールスチームの目標設定をする際、「アポイント数」を目標にしている営業組織は多いのではないでしょうか。

アポイント数はもちろん重要な指標の1つですが、最終的な「受注」に至るためにはどのような案件が良いか、どのセグメントに攻めるべきか、誰に(どの営業担当に)パスするか、といった受注までのプロセスにおける創意工夫をインサイドセールス自らが頭を使って考えられるようになると、より収益貢献度の高いチームになると思います。

今回は、GLナビゲーションのインサイドセールスチームとフィールドセールスチームの目標設定方法や両チームの連携のあり方についてお届けします。

「TheModel型組織」における目標設定の難しさ

インサイドセールスチームの目標値を設定する際、アポの設定数を目標値に置きがちです。しかしアポを取ることが目的化してしまい、フィールドセールスからすると、見込み度の低いアポや受注につながらないアポを入れられてしまうなどの問題が起こりがちです。他にも、自身が得意ではない案件の設定や商談時に向けた情報共有が弱いなども起こります。

このような問題を防ぐために仕組みを作り、ルールにがんじがらめになり、本質(受注)から遠ざかる動きをしてしまうことがチームとして起こってしまうケースが多々あります。

GLナビゲーションのインサイドセールスは「売上目標」を持つ

上記のような問題を防ぐためにGLナビゲーションでは、インサイドセールスもフィールドセールスと同様に売上目標を持つようにしています。

メリットは二つあります。1つ目は、インサイドセールスが主体的にフィールドセールスが受注獲得をしやすい状況を作るようになることです。2つ目は、インサイドセールスがフィールドセールスの担当者を見て、顧客の課題を踏まえ誰に案件をパスをすれば受注に繋がりやすいか分析しながら、パスをする構造が生まれるようになり、受注率の向上が見込める点です。

さらには、インサイドセールスが案件進捗や案件状況を主体的に追いかけて、受注理由や失注理由を細かく追いかえることで、インサイドセールスのフェーズでどのようなニーズを引き出し、どのようなインサイトを顧客に与えることができれば受注に繋がりやすいかということを考えられるようになります。

インサイドセールスに売上目標を設定する上で重要なこと

前述の体制を実行するために重要なことがは大きく3つあります。

顧客のカテゴリー化

1つ目は、「顧客のカテゴリー化」を徹底することです。具体的には、インサイドセールスがリード獲得チャネルや顧客ニーズを事前に見える化し、フィールドセールスの担当者ごとの得意領域、苦手領域が分析できる状態を作ることです。

Salesforce入力ルールの簡素化

2つ目は、「Salesforce入力ルールの簡素化」です。Salesforceの入力は、なるべくフリーテキストの項目欄を減らし、選択式やチェック式の入力にすることでデータの精度を高めることができ、Salesforceを分析基盤として機能させることができます。そうすることで、フィールドセールス毎の得意領域・不得意領域がしっかりと可視化されて、最適な人にパスすることができるようになります。

また、不得意な担当者に対しては得意な担当者の良い点をインサイドセールスからフィールドセールスにフィードバックして、チーム全体の決定率を高めるような協力体制を作っています。

ノンテリトリー制

3つ目は、インサイドセールスの担当するリストを決めない「ノンテリトリー制」にすることです。分析結果から確度の高い顧客セグメントを抽出できたとしても、「自分の担当ではない」という理由で可能性を潰してしまうことを避けるためです。

自ら頭を使って効果的なリストを作成したインサイドセールスは、その努力をきっかけにいち早く成果を出すことができますし、それが刺激となって他インサイドセールスに伝われば、良い意味での競争が生まれ、チーム全体で創意工夫できるようになると思います。

TheModel型組織におけるインサイドセールスの評価方法

このような評価方法を考える上で重要なことは、目標をダブルカウントにして運命共同体にすることです。そしてアポ獲得数ではなく、売上にコミットすることです。そのためにも、データ基盤をしっかり整えることが重要です。加えて、「誰に振っても良し」というように、インサイドセールスに対して、リードをパスする相手を決められる裁量を渡すことも重要です。

GLナビゲーションでは具体的には、商材の領域、技術/テーマ、経験値、顧客属性(年齢)によって、「SAPやSalesforce等のSaaS導入の商談ならA担当者が得意なので決定率が高くなりそう」「(年齢が高いコンサルタントに対しては、)このフィールドセールスが顧客の理解を得やすいはず」などの判断をしています。

フィールドセールス担当者によって、得意・不得意な案件は変わるため、例えば、SAPやデータ分析だったらAさんが得意な一方、大規模プロジェクトのPMならBさんが得意といった強みや弱みを案件別に可視化できるようにしています。

また、インサイドセールスにきちんとフィードバックを行うフィールドセールスにパスする傾向も見られてきました。つまり、「このフィールドセールスはパスしても、Salesforceの入力が甘く、確認工数がすごく掛かる」「後でこっちが分析しようと思っても、フィールドセールスのこの担当者は全然協力してくれない」というような状況だと、他のフィールドセールスにパスをするようになるということが起こっています。

特定のフィールドセールスの担当者にパスが偏ることを避けるために、インサイドセールスが商談状況を踏まえて別の担当にパスを出せるようにしています。いくら得意でも担当案件が多すぎれば、1件あたりの案件にリソースを十分に使えなくなるため、多少苦手かもしれない担当者にもパスを上げるような判断をしています。なぜなら、多少は苦手だとしても案件対応の精度が高まり、結果的に受注角度が高くなるからです。共有カレンダーを見ることで、「予定が埋まりすぎてて面談が組めない」といったリソースの埋まり具合も確認するようにしています。

工数に空きがあるフィールドセールスの動きは

では、案件のパスが来づらい、比較的工数に空きがあるフィールドセールスはどのような動きを取るのか。GLナビゲーションのフィールドセールスは2つのパターンが存在します。

フィールドセールス自らがインサイドセールスの動きをする

1つ目は、フィールドセールス自らがインサイドセールスの動きをします。Salesforceから顧客データの抽出とセグメント分析を行い、候補者となるコンサルタントを提案しながら顧客の反応をもとに仮説検証を繰り返します。汎用性の高いオペレーションに落とすことで、既存顧客の対応で忙しいフィールドセールスであったとしても、効率的に新規ニーズの獲得ができています。

既存顧客の深堀りに時間を使いながらニーズ(プロジェクト)を吸い上げる

2つ目は、既存顧客の深堀りに時間を使いながらニーズ(プロジェクト)を吸い上げるケースです。優良な案件ニーズを渡すと、インサイドセールスは「これは受注確度が高い」と思って、フィールドセールスの獲得したニーズの詳細を深く理解し、ニーズにマッチしそうなコンサルタントをパートナー企業と協力しながら提案していきます。

まとめ 組織全体として生産性の高い領域に活動を集中する

本記事でお伝えしたように、TheModel型組織における営業の評価方法を考える上で、GLナビゲーションではインサイドセールスが担当するリストは決めず、ノンテリトリー制にしています。

このような体制にすることで、インサイドセールスは活動範囲に自由度を持ち、思考の幅を狭めることなく個々の担当者がクリエイティブに判断し、組織全体として生産性の高い領域に活動を集中することができるようになります。

無料資料配布中!

当社で改善効果のあった営業組織改革を資料化いたしました。
今どうしようか迷っている方はぜひダウンロードしてみてください。

資料ダウンロード(無料)
営業をマーケの最大理解者にする方法