セールスこそMAツールを活用せよ!データドリブンな営業体制の構築方法

マーケティングオートメーションと聞くと、新規リード(問い合わせ)を獲得するための「マーケターのためのツール」という認識を持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、マーケティングオートメーションは営業オペレーションに落とし込むことで真価を発揮します。営業戦略の立案や営業アプローチの精度が高くなり、営業成果を出す時間軸も短縮することが期待できます。

本記事では、マーケティングオートメーションを活用した営業手法の代表例や具体的な取り組み事例を紹介しながら、営業チームがマーケティングオートメーションを活用することのメリットをお伝えします。

営業手法を変革するMAツールの3つの役割

マーケティングオートメーション(Marketing Automation)とは、マーケティング活動の業務自動化・業務効率化を行い収益向上とコスト削減の両方を実現するための方法論や技術で、マーケティングオートメーションツールとはその機能を備えたウェブサービス/ツールを指します。

以下では、マーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)の代表的な役割を3つ紹介します。

(1)ニーズ顕在化、検討開始の適切なタイミングを把握できる

セールス活動において新規商談を獲得するためには、見込み顧客に対して継続的にコミュニケーションを取り続け、顧客のニーズが顕在化したタイミングを適切に捉える必要があります。しかしながら、全てを人力でカバーするとなると膨大な工数になります。そこで、MAツールを利用することで以下2つの業務を自動化することができます。

  1. 自社商材への関心が顕在化したタイミングを適切に捉えることができる
  2. 見込み顧客に対して適切なコンテンツを自動で提供することができる

(2)顧客属性・行動履歴を活用したセグメント作成と優先順位付けをできる

自社が保有する広告や電話、FAX、セミナー・ウェビナー、展示会等、様々な経路で取得した見込顧客(リード)が「今、求めていること」を把握して適切にアプローチするためには、顧客をセグメント化(細分化)して管理する必要があります。

そこでMAツールの代表的な機能である「リード管理機能」を活用し、以下のような情報と関連付けして管理することで、自社の商材への関心の高さや興味の方向性を適切に管理し、営業対象先の優先度をつけることが可能となります。

ファーモグラフィック変数

所属企業名、業種、従業員数、組織体制等

デモグラフィック変数

担当者氏名、所属部署、役職、メールアドレス、性別、年齢等

ジオグラフィック変数

所在地、人口密度、気候

サイコグラフィックス変数

関心領域、優先基準、価値観、性格等

ビヘイビア変数

ウェブページの閲覧、メール開封・リンククリック、購買履歴、利用頻度

(3)コア業務・ノンコア業務を切り分けた生産性改善ができる

先に説明した2つの役割は収益向上のための機能ですが、本パートでは生産性改善の役割を紹介します。

マーケティング業務を効率的に進めるためには「コア業務」「ノンコア業務」を整理し、ノンコア業務をMAツールで代替し、コア業務に集中する必要があります。

コア業務:企業の利益や売上に直結する、企業活動の根幹となる業務

架電対応や訪問準備、商談、トラブル対応等、専門的な判断が必要で、利益に直結し、難易度が高い業務

ノンコア業務:直接的には利益や売り上げには直結しない、業務全般の遂行を後押しする業務

資料送付やアプローチリストの作成、新規アポ取りなど、ある程度の型が決まっており、専門的な判断が必要とされない難易度の低い業務

MAツールを活用することで、資料送付やアプローチリストの作成といった業務を自動化することができ、営業リソースを集中すべき業務に割くことができるようになります。

GLナビゲーションの3つの取り組み事例

(1)MAツールでノンコア業務を自動化・効率化した「テックスタック」を構築

一般的に「テクノロジースタック(テックスタック)」とは、ビジネス上の目標を達成するために協働する「ソフトウェアツール(SaaS)の組み合わせ」を指します。

マーケティングオートメーションのMarketoやTrello、Slackといった複数のツールの導入と、ツールの連携を行うことで、人がやらなくて良い領域を可能な限りテクノロジーで自動化し、人的なリソースを時間価値が高い領域に集中させる体制を整えています。テクノロジーの導入により、営業員1人あたりの活動量を1ヵ月で約4倍に向上させることに成功しました。

(2)ニーズ顕在化、サービス検討を開始するタイミングを適切に把握

MAツールのスコアリング機能を利用することで、「営業の勘と経験」に頼るのではなく、データとして顧客ニーズや確度を正確に把握することができます。以下ではインサイドセールスが顧客の一瞬一瞬の状況をリアルタイムに把握したアプローチの具体例をお伝えします。

スコアリングロジック

顧客の行動に合わせて「メール」と「Web」のカテゴリを設定し、例えば「メールを開封したら1点」「Webサイトを訪問したら1点」といったスコアリングを行なっています。また、確度が高いとされる特定の行動については、Slackでアラートを通知しています。

解像度がより高い状態で顧客を理解できるため、インサイドセールスのトークや提案を顧客起点から設計することができ、顧客との関係性強化が望めます。また、営業のノウハウ(勘と経験)をデータとして管理、検証することでPDCAを回すことができ、ノウハウを武勇伝で終わらせず、より高い次元に進化させることが可能になります。

(3)「面談実績の有無」×「スコアリング」で優先度付け

優先度の低いセグメントに闇雲にアプローチをしてしまうと貴重な営業リソースの時間を浪費してしまいます。そのため、データを元にした優先度付けを行なうことによって、生産性の高い提案活動を実現しています。例えば、以下の図は優先度を付けるための軸のひとつです。横軸に「面談実績の有無」、縦軸に「スコアの高低」を設定しています。

優先度1は、「実績あり×スコア高い」の領域で、最優先アプローチ先となります。一番ニーズがあり、過去の面談実績もあるため、ある程度、関係構築ができているという位置付けです。

優先度2は「実績あり×スコア低い」の領域です。過去に何かしらの接点はもっているものの、直近スコアが低くなってしまっている企業が該当します。最近のメールは見ていないもののニーズがあるのであれば、マインドシェアを上げて関係構築をしていきます。もしくは、アポイントを設定し、改めて自社サービスの強みやパートナーとしての価値を伝えることもあります。

優先度3は、「実績が無し×スコア0」の領域です。スコアが高い領域の方が優先度も高いと思われがちですが、比較検証を行った結果、実績がなくスコアが高い企業様より次に繋がる可能性が高いという結果が出ています。メールを認知していない、もしくはほとんど見ていないという状態のため、ニーズの有無が不明です。そのため、インサイドセールスから提案しながらニーズがあればもちろん面談に進み、ニーズがなければアポイントをとってマインドシェアを上げていく活動をすることもあります。

優先度4は、「実績無し×スコア高い」の領域です。そもそも注力テーマが異なっていたり、ニーズがなくて特に反応していないということなので、アプローチしつつ可能性がなさそうであれば、営業対象外に指定します。

マーケティングオートメーションのMarketoを導入し、SalesforceのSFAと連携させています。導入前はスプレッドシートやタスク管理ツールのTrelloを使っていましたが、Salesforceを導入して、Marketoと連携させたオペレーションの設計、テクノロジー環境を構築しました。

Marketoを使って、顧客に対するメール配信(提案業務)とスコアリング(データ蓄積、リッチ化)を行なっています。メールが開封されたりクリックされたりすると、自動で顧客に点数が付けられ、社内のインサイドセールスや営業にSlackで通知が届く仕組みです。

また、顧客がメールを開封・クリックした、あるいはWebサイトを訪問したという情報は、MarketoだけではなくSalesforceにも同期されます。インサイドセールスは、メールを開封した顧客のリストや、クリックした顧客、スコアが○点以上の顧客などのセグメントをSalesforceレポートから自身で抽出、確度の高いコール先のリストとして活用しています。

営業が手動でメール送付していたり、リストの上から下まで順番に架電していたような活動を一変し、メールでの提案業務はほぼMarketoに移管して自動化、営業はニーズが健在化されていてサービスを必要としている顧客に時間を集中して使える構築しました。

本記事のまとめ

セールスがMAツールを導入するメリットと具体的な活用方法をお伝えしてきました。

この記事のポイント

  • ポイント1.顧客の動向をデータで把握することで、ベストなタイミングで営業をすることができる
  • ポイント2.顧客の行動に基づいたセグメントを作成することでホットリードが明確になり、営業先の優先度付けができる
  • ポイント3.ノンコア業務を自動化・効率化した「テックスタック」を構築することで、コア業務に集中することができる

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