未経験者を「インサイドセールス即戦力」にする3つの手法
「営業未経験/IT業界未経験だったメンバーが、たった1年で売上3億円を達成……」
このように聞くと、特殊な状況やたまたまそのメンバーが凄かっただけという反応をしたくなる気持ちもわかりますが、実は再現性ある形で未経験者を即戦略化する方法があります。
今回は、未経験者を「インサイドセールス即戦力」する3つの手法をお届けします。
手法①とにかく業務を細分化
先発完投型で一人の担当者が営業プロセスすべてを担当する体制だと、同じシーンを何回も反復して経験できないため、各プロセスの技術を習得することに時間が掛かります。また、そもそもアポが取れなければ、営業プロセスの後工程を経験できないため、営業メンバーによって後工程のスキルに差がついてしまい、属人性の高いスケーラビリティの低い営業組織になってしまいます。
そこで、まずは営業プロセスを細分化し、1つの業務を徹底して反復を行うことによって技術を習得させるアプローチが有効になります。
【GLナビゲーションの取り組み】
GLナビゲーションでは、インサイドセールス(IS)とフィールドセールス(FS)、カスタマーサクセス(CS)という形で徹底した分業化を行っています。いわゆる「The Model型」と呼ばれる営業組織です。
さらにインサイドセールスは、新規リードを獲得する「BDRチーム」と獲得したリードに対してニーズ換気・獲得を行う「SDRチーム」の2つに分けています。
インサイドセールスを2つのチームに分業化している理由は、いきなり顧客のニーズをヒアリング、見極めを行って提案する業務は、未経験の人材やスキル不足の人材にとっては、ハードルが高く感じることがあります。そのため、インサイドセールスチームのなかでも更に細かく分業することで、経験やスキルの差に関係なく、入社後のスムーズな立ち上がりと即戦力化につながっています。
結果として、未経験者でも特定領域ですぐに成果を出すことができ、働くメンバーのモチベーションの向上やスキル・育成の観点からもポジティブにワークしています。
手法②営業活動の可視化
業務を細分化した次のステップは、「営業活動の可視化」になります。せっかく業務を細分化しても顧客の反応を定量的にデータで捉えることが出来なければ、感覚的な会話となり、建設的な意思決定を下すことは出来ません。
営業課題のコアな部分をデータで捉え、感覚をベースとした改善からの脱却が必要です。営業担当者の勘と経験に頼ったアナログな営業活動から、データを基軸としたボトルネックの整理や解消に向けた打ち手の考案、実行の意思決定を行えるようになると、短期間で売上が増加します。
データドリブンな営業をする上では、因果関係と相関関係を区別した会話が重要になります。いわゆる『昭和営業』では感覚による相関関係の話が中心になりがちですが、相関関係は事実としてデータに現れます。データによる事実ベースで議論ができるようになることで、営業活動の結果として出てきたデータの背景にある顧客ニーズというインサイトを元に施策を導き出せるようになります。
営業責任者は、何となく「反応率が良いからこっち」ではなく、データに基づきその結果を深堀りして、因果関係の仮説を導き出してメンバーに伝えましょう。「なぜそうなっているのか」という因果関係の仮説を伝えたり、メンバーが自分で考えられるようになるためのフォローをしたりできるようになると、組織の成長速度が劇的に早くなります。
【GLナビゲーションの取り組み】
GLナビゲーションの場合、Salesforceに入力するデータは、なるべく自由入力する項目を少なくしてカテゴリ分けしたり、受注率が高いニーズと低いニーズの分析ができるように、データの項目を整備しています。
手法③顧客をカテゴリ化とパーソナライズ
最後に、顧客のカテゴリ化とパーソナライズ化を行います。
顧客の行動に合わせてカテゴリを設定し、例えば「メールを開封したら1点」「Webサイトを訪問したら1点」といったスコアリングを行なっています。
また、顧客の属性に合わせて担当領域を分けています。例えば、顧客の収益貢献度に合わせてTier1からTier3というセグメントの定義を設定するようなイメージです。Tier1は、プライム/エンドユーザー、注力テーマに合致しているSIer、過去に実績があり関係構築ができている企業群としています。担当はアカウントセールスで、営業リソースをべったり張り付けて関係構築を行い、ニーズが発生した時にすぐに提案に動ける体制にしています。
顧客のカテゴリごとにある程度ニーズを把握することができているため、分類した顧客カテゴリごとにトークスクリプトを用意して改善していきます。そうすることで、受注率や歩留まりを効率的かつ的確に改善することができます。
【GLナビゲーションの取り組み】
各コンサルタントの得意領域(Salesforce、SAP、RPA etc)ごとにトークスクリプトを保有し、トーク内容と改善率を見ながらPDCAを回しています。
■トークスクリプト例
(候補者提案 コンサルタント・Kさん):
この度、弊社プロパーをご提案させていただきたくご連絡いたしました。RPAの領域で、特にUipathの経験が4年ほどございます。要件定義から対応可能で、上流・開発・運用保守といずれのフェーズでもご支援可能です。
(候補者提案 コンサルタント・Yさん)
<基本形>
この度、12月アサイン可能の新規プロパーをご提案させていただきます。
大手コンサルティングファーム出身で、プロジェクトの企画構想フェーズから業務コンサルとしてのご支援が可能です。
お客様の業務課題に関するAs isの把握が得意で、DXを加速させる架け橋となる存在です。
領域としては、金融系や医療系を中心に20年以上の経験がございます。ロールとしては、業務コンサル/PM/PMOとして活躍が可能です。このような業務コンサルタントとしてのニーズはございますでしょうか。
ポイント!
まずはコンサルタントごとに強みや実績をしっかり理解する意図で基本形のスクリプトを用意します。基本形はどの顧客に対しても訴求できるようにコンサルタントの情報(スキルセットや実績がある業界など)を網羅した内容としています。
<配信メールのクリックまたは開封顧客>
本日メールでお送りさせていただきました、12月アサイン可能の新規プロパーに関しましてご相談させていただきたく、ご連絡しました。
この度、大手コンサルティングファーム出身で、プロジェクトの企画構想段階から業務コンサルとしてのご支援が可能なプロパーを注力しております。領域としては、金融系や医療系を中心に20年以上の経験があり、PM/PMOを含め上流でのご支援が可能です。
ポイント!
メールに反応(開封 or クリック)した直後の顧客のため「メール送信した件」であることを必ず伝えます。メールに反応していることから情報を網羅的に伝えるのではなく、顧客の注力領域やスキル要件に合わせて強調して説明するポイントを最適化します。
<スコアリング偏差値が高い>
この度、大手コンサルティングファーム出身で、プロジェクトの企画構想段階から業務コンサルとしてのご支援が可能なプロパーに注力しております。プロジェクトのアップセルやクロスセルの推進やお客様の業務課題に関するニーズの把握が得意で、DXを加速させる架け橋となる存在です。
ポイント!
スコアリングの偏差値によりすでに関心が高いことがわかっているリストのため、メールでは訴求しない新しい情報を伝えます。特に、業務課題に深く入り込んだアップセル・クロスセルができるコンサルタントは希少価値が高いため強調して説明します。
<過去提案実績あり>
この度、12月アサイン可能の新規プロパーがおりまして、以前も似たスキルセットを持ったプロパーをご提案させていただいた際にニーズをお持ちでしたので、今回もご相談させていただきたくご連絡させていただきました。
ポイント!
過去に提案している履歴があるリストの場合、過去実績からビジネスにおける信頼関係や、高水準のスキルセットを持つコンサルタントの紹介が可能であることを訴求します。
まとめ
最初に営業プロセスを細分化し、次に営業プロセスを可視化・データ化し、最後に顧客カテゴリを分類してトークスクリプトを改善する3つのステップをお伝えしました。
このようにすることで、より良いアプローチが常にブラッシュアップされ、営業組織が自分たちで売上達成に向けてPDCAを回す、自走できる営業組織に変革することができます。