インハウスでSalesforceを構築する方法とは?DX人材の育成方法も解説

Salesforceの導入を検討しているものの、「構築できる人材がいない」「どのように構築していいのか分からない」「コストをかけられない」などの課題から、導入を踏みとどまっている企業も少なくありません。

しかし、Salesforceはインハウスで構築・導入が可能です。実際に、GLナビゲーションでは、インハウスでSalesforceの導入と構築までを約2カ月で行いました。しかも構築を担当したのは、IT未経験のメンバーです。そこで、社内にIT・デジタル人材がいなくても短期間でSalesforceを構築する方法や、DX人材の育成方法をご紹介します。

●目次

システム開発のトレンドが変わり、「ツールを使うスキル」が重要に

これまで企業がシステムを構築する際は、「システムベンダー」と呼ばれるSIerに依頼するのが一般的でした。外部に依頼すると多額の開発コストがかかるため、導入後はできるだけコストを抑えて運用するケースが多かったのです。こうしたシステム開発のトレンドは、SaaSに代表されるノーコードツールの台頭によって大きく変わり、自社でシステム構築がしやすくなりました。同時に投資の考え方も変わり、システム構築にはコストをかけず、スモールスタートで導入し運用改善に力を入れる動きになっています。

動きの変化に伴い、企業が求めるスキルセットも「システムを開発するスキル」から、「ツールを使うスキル」に変化しています。社内のDX化を推進するために、現在は「ツールを使うスキル」を持つDX人材を増やすことが課題となっているのです。

DX人材に求められる「ツールを使うスキル」

DX人材に求められる「ツールを使うスキル」のスキルセットは、以下の3つが挙げられます。

①ツールを構築するスキル

SalesforceなどのSaaSを構築するスキルです。ノーコードツールなので、「システムを開発するスキル」に比べると、獲得が難しいスキルではありません。

業務・ビジネスに関するスキル

現場が馴染みやすいシステムの使い方や、ビジネス上のインパクトを創出できるデータ構造など、業務やビジネスの要点を把握していることが重要です。

ツールを使ってビジネスを伸ばすスキル

ツールを使ってビジネスを伸ばしたり、業務を効率化したりする力です。ビジネスのポイントをシステムに落とし込むスキルが求められます。

外部委託でシステム開発を行う際に、この3つの要件を備えようとすると大変なコストと時間がかかります。まして、②と③のスキルを持つ人材は限られています。SIerなどにはシステム開発に詳しい人材がたくさんいますが、クライアントの展開するビジネスに対する理解が浅かったり、システムを活用してクライアントのビジネスを伸ばす方法は知らなかったりするケースが多いのです。

ツールを導入し、効果的にビジネスを伸ばしていくためには、「ツールを使うスキル」を持つ人材は、自社で育てるのが現実的です。ツール構築にかかるコスト面でも、運用改善のスピードを上げる品質面でも、自社内でどれだけDX人材を育成できるかが鍵となります。

DX人材を社内で育成するには

SaaSでのツール構築は、スピーディかつ低コストでスタートし、運用改善という形でどんどんブラッシュアップすることが重要です。ツール構築と運用改善を実現できるDX人材を育成するポイントを解説します。

「アクティブラーニング」を取り入れる

DX人材を増やすためにGLナビゲーションで推奨しているのが、「アクティブラーニング」です。アクティブラーニングとは、能動的な学習法のことです。当社では、学習者が受け身で学ぶだけではなく、自分ができることや教えてもらったことを、すぐに周囲の人に教え、ディスカッションをしながら学んでいく方法を採用しています。担当者がツールを構築できるようになったら、ツール構築未経験の新卒やアルバイトメンバーにやり方を教えるのです。やり方を覚えたメンバーが別の人に教えるというサイクルで、社内に教える人、学ぶ人を増やしていきます。教える側も質問に答えるために自分で調べるので、双方に高い学習効果をもたらします。

アクティブラーニングの重要なポイントは、教わるだけでなく、必ず自分でツール構築まで行うこと。ただ聞いているだけでは、一人で構築できるようにはなりません。実際にシステムを構築してみて、レポートやダッシュボードなどで構築した結果をデータで見ることで、、教えてもらった知識がスキルとして磨かれていきます。

また、アクティブラーニングを推進すると、教え方のナレッジも貯まります。GLナビゲーションでは、教え方のナレッジを蓄積した結果、2週間でツール構築ができる研修プログラムが完成しました。

ツール構築ができる人材を現場にアサインする

ツール構築ができる人材を増やしたら、現場にアサインします。一般的なシステム開発は、企業の情報システム部門が行いますが、情報システムを担当する部門のメンバーは現場の業務に詳しくありません。そのため、情報システム担当が開発したシステムは現場から見ると使いにくい部分があり、修正してもらうにも要件整理に時間がかかってしまうという課題がありました。

一方で、ツール・技術に詳しくない人のツール構築の要件は的外れになりやすいという側面もあります。ツール構築ができる人材を現場にアサインすることで、要件が的確になり現場視点での運用改善を実現できるでしょう。

インハウスでSalesforce構築を成功させる2つのポイント

インハウスでSalesforceの構築を成功させるポイントは、大きく分けて2つあります。どちらも重要なポイントなので、インハウスでの構築を検討している場合は参考にして下さい。

ツールに合わせて自分たちの業務を変える

ツールの構築・導入に失敗する最大の原因は、「自分たちのやり方を優先する」ことです。実際に我々も、自分たちがやりたいことをSalesforceで実現しようとして、過去に1度失敗しています。作業の一部がツールで実現できず、中途半端なツールになってしまい、結果的に使われなくなってしまいました。

DXとは、デジタルトランスフォーメーションのこと。トランスフォームするのは、システムではなく人間です。「システムに合わせて業務を変える」という考え方が、DXでは極めて重要です。Salesforce導入の失敗体験から、複雑なカスタマイズやデータ構造を実装するのではなく、我々の業務をSalesforceに合わせて変化させることにしました。

なお、優れたサービスは「機能ファースト」ではなく、オペレーションやビジネスモデルファーストになっています。「サービスが提唱するオペレーション・ビジネスモデルを進めれば成功する」という思想がシステムに反映されているので、自分たちの業務を変えた方がシステム構築は成功しやすい。古い例えですが、ERPには「靴に足を合わせる」という有名な言葉があり、ビジネスプロセスをシステムに合わせるという考え方が推奨されていました。

外部アドバイザー・カスタマーサポートを活用する

Salesforceを導入する際に、外部のアドバイザーを活用するのもお勧めです。構築はインハウスで行いますが、Salesforceの使い方やオペレーションの組み方、データ構造などをアドバイザーに誤った使い方をしていないか、複雑な使い方になっていないか助言してもらいます。GLナビゲーションでは、常に外部の目を入れることを意識し、外部アドバイザー契約は現在も継続しています。

GLナビゲーションのSalesforce構築では「Premier Success Plan」を採用しており、Salesforceのカスタマーサポートがツールの構築での不明点に対して回答してくれます。。構築で分からないことはカスタマーサポートをフル活用し、戦略的な観点は外部のアドバイザーに指示を仰ぎました。外部の力を借りながらも、あくまで構築はインハウスに徹底したことが、導入成功のポイントです。

CoE組織を設置し、ナレッジを集約・還流するサイクルを作る

社内のDXを推進するために、GLナビゲーションではDX部門を設置しています。DX部門はCoE(Center of Excellence)と呼ばれる機能を持ち、現場で実施しているDXや運用改善の事例を集約してメンバーのトレーニングを行っています。また、ツールの大規模改修などシステム難易度の高い要件については、現場メンバーではなくDX部門が担当します。ただし、ツールを理解している現場のDX人材がオーダーを出すので、的外れな要件、複雑な要件にはなりません。その結果、スピーディな開発体制が実現できています。

なお、現場起点で運用改善を続けると、現場最適になりサイロ化が進んでしまうリスクがあります。サイロ化が起きないようにチェックし最適化をはかるのもDX部門の役割です。CoE機能を持つ組織を設置して現場のナレッジを集約し、社内の各部門に還流するというサイクルを作ることが重要です。

DX人材を増やすために意識しておきたい「人材市場価値」の観点

DX人材を増やすために、人材の市場価値の向上も意識しておくことが大切です。企業と従業員の2つの観点をご紹介します。

企業としての観点

企業が実現しなければならないミッションのひとつが、「従業員の人材市場価値の向上」です。数多くの企業から必要とされ、自分が望むキャリアを実現するためには、採用市場で評価されるスキルを身につける必要があります。

DX人材は採用市場でのニーズが非常に高いため、GLナビゲーションではコストをかけて従業員に新しいツールを使ってもらい、スキルレベルを高めています。その結果、新卒メンバー全員がSalesforceなどのシステム構築ができるようになっています。

市場価値向上の観点は、「人材のリテンション」にも作用します。若手の採用成功や人材流出を抑えるという意味でも、働く価値を高める必要があるでしょう。

従業員としての考え方

企業が人材市場価値の向上を担う一方で、従業員も自分の市場価値を意識してもらうことが重要です。営業のミッションは「ツールが使える」ことではなく「売り上げや成果を出す」ことですが、Salesforceを中心とした様々なセールステックを活用して営業DXを高度化することで、アカウントセールスやマーケティング、営業推進などキャリアの選択肢を広げることができます。もちろん、この考え方は営業に限らずどの職種でも有効です。

最後に

企業のDX化は、従業員の人的資本投資にもつながるテーマです。企業は従業員一人ひとりの市場価値向上に寄与し、成長機会を与えなくてはなりません。そのための第一歩として、インハウスでツールを構築し、DX人材の育成にチャレンジすることをお勧めします。

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